食洗機を選ぶ際の大きな選択肢として、「日本製か?海外製か?」があります。特に外国で暮らしていた経験があり、実際に海外の食洗機を使った経験がある方にとっては、マストな選択肢と言っても過言ではありません。
最近では、そうではない方でもインターネットや雑誌などで海外の食洗機を知って前向きに検討される方が増えてきていると感じます。日本にはミーレやガゲナウ、アーエーゲーやアスコなどの歴史のある輸入ブランドが食器洗浄機を販売しており、安心して購入できるようになった事が大きな要因だと思います。
海外製食洗機の魅力といえば、食器が沢山入る大きな庫内」「出し入れがしやすいフロントオープンの扉」になろうかと思いますが、もちろんデメリットもあります。一番のデメリットは何と言っても「価格が高い」という事ですが、それ以外で、購入検討される方が一番心配されるのは「乾燥力の弱さ」だと思います。
インターネットで検索してブログ等を読んでみると、「乾きが不十分!」と物足りなさを感じている方が多いです。特に日本製の食洗機を使い続けていて、カラっと乾いた仕上がりに慣れていた方が、海外製に変えた場合なんかは特に感じてしまうかもしれませんね。
もちろん、これには理由があって、日本製の食洗機は送風などで「強制的に乾かす」のに対して、海外製は洗浄後の「余熱による自然乾燥」を採用しているからです。(食器が痛まないなどのメリットもあります)
以前、ある輸入ブランドの方から、海外製食洗機の乾燥力をアップするために方法を伺ったところ、これまでの日本人の食洗機の使い方とは真逆の考え方だな~と大変、面白く感じましたので、本記事で紹介させていただきます。
※機種やプログラムによっては思いのほか、改善が見られない場合もあるかもしれませんが、一つの方法論としてお聞きいただきいただければ幸いです。
前提条件:オート式の洗浄プログラムを使用している場合(ミーレでいうところのセンサーウォッシュに相当し、一般的に一番良く使用されているプログラムだと言われています。)
1.たくさんの食器を詰め込む
日本人の常識的な感覚としては、『食事をする→すぐに洗い物をする→拭いて片づける→次の食事でまた使う。』という流れが一般的ではないでしょうか。つまり、毎回の食事ごとに小まめに食器を洗うのが当たり前で、シンクに食器が溜まっているのは「だらしない」と考えますよね。
実は、この考え方が海外製の食洗機の乾燥にとっては逆効果なのです。
これも良く誤解をされているらしいのですが、冷凍庫には、出来るだけギュウギュウに食品が入っていた方が庫内がよく冷やされるというのはご存知でしょうか?(あまり、ギュウギュウにすると食品が凍って膨張し、冷蔵庫の扉の裏側を破損してしまう事があるので、程々にしてくださいね。)
冷蔵庫は詰め込み過ぎると冷えが悪くなるので、冷凍庫も・・・と思われがちですが、庫内に沢山食品が入っていることで、食品同士が「冷やし合う」効果が生まれ、全体的に冷却力がアップされます。
海外製食洗機にも、同じようなことが言えます。
ポイントはオート式の洗浄プログラム。(センサーにより洗浄力を調整するプログラム)
このセンサーは、食洗機庫内に沢山食器が入っていると、よりパワフルに洗わなくては!と判断し、水圧はもちろん、洗浄液の温度も高くします。結果として、庫内がより熱くなるので、洗い上がりの食器も熱くなります。そして、高い「余熱乾燥」効果が得られるというわけです。
これが、毎度の食事ごとに「こまめに洗ってしまう」と、必然的に庫内の食器の量が減ってしまうので、結果、水圧も、洗浄液の温度もちょっと抑え目に・・・なんてことになってしまうわけです。
すると庫内や食器の熱が高くならないので、余熱乾燥が進まず、なんだか乾きが悪い・・、まさに逆効果ということになってしまいます。
2.下洗いをしない
ユーロキッチンズのお客様でも、汚れが落ちないと嫌なので、下洗いをしっかりされている方が多かったように思います。日本人のマメで丁寧な性格もあり、いくら食洗機を使う予定でも、こびりついた汚れをあらかじめ拭き取って庫内にセットしてしまうのでしょう。
しかし、これも海外性食洗機の乾燥力にとっては逆効果です。
ポイントは上記の1番と同じオート式の洗浄プログラム。(センサーにより洗浄力を調整するプログラム)
このセンサーは、汚れが強いと判断することで やはり洗浄液の温度を高く設定します。結果として、庫内がより熱くなるので、洗い上がりの食器も熱くなります。そして、高い「余熱乾燥」効果が得られるというわけです。
これが、しっかり下洗いをしてしまうとと、「大して汚れていないな~』とセンサーが判断してしまい、結果、水圧も、洗浄液の温度もちょっと抑え目に・・・なんてことになってしまい、同じように逆効果になってしまいます。※もちろん、固形物などは取り除いてくださいね。
3.樹脂系の食器を減らす
日本では、熱伝導の低いプラスチック製や樹脂製の食器が多く使われるのも、乾燥力が弱くなる原因です。上記のように、庫内の食器の熱で乾燥させるというメカニズムですので、熱伝導率が低い食器が多いと乾燥力は低下します。
ですので、出来るだけ樹脂系の食器を減らす事によって乾燥力をアップさせる事が出来ます。
海外式「食器洗いスタイル」のススメ
乾燥力をアップさせる3つの方法について、ご案内しましたが、いかがでしたでしょうか?
海外の食生活スタイルでは、1日を通して、どんどん沢山の食器を使い、夜中に、ひとまとめに洗ってスッキリ!という使い方が一般的です。ソースがついていようが、ルゥが残っていようが、大胆にそのまま庫内へ。
食洗機は、張り切ってパワフル運転をしてくれるので、余熱乾燥力も上がるというカラクリです。海外製食洗機なので、海外の食生活に合わせた作りになっているのも肯けますね。
それならば、いっそのこと「日本の常識」とは逆転の発想で食洗機ライフを楽しみませんか?
食器も、毎度洗いをしていると、「いつも使う食器」が決まってきてしまって、「あんまり使わず、食器棚の肥やしになってしまっている食器」が出てきませんか?せっかく持っている食器、どんどんと活躍してもらいましょう。そして一日の終わりに、全部ひとまとめに食洗機にお任せ。汚れたまま、そのまま食洗機に突っ込んでOKです!
手間も減って、色んな食器を使えるチャンスも出来て、なおかつ、乾燥力もアップする。いいことづくめですね!
海外製の食洗機の乾きが悪い~と思われている方、ぜひ一度ご自身の「食器洗いスタイル」を見直して見てはいかがでしょうか?もしかしたら、不満がいっぺんに解決するかもしれませんよ。