レイアウトを決めていく中で、よくお話しするのが通路の幅についてです。家事導線ですごく大切なポイントなのですが、建築会社様やオーダーキッチン屋との意見が違うことが多いようなので、私の考えを書かせていただきます。
設計士さんや新築のハウスメーカーさんの図面を見ると、キッチンの通路が1メートル空いている事は良くあります。やはり広々としていた方が良いというご提案で、お施主様も特に問題視することなく納得されていますが、私の考える最適な通路幅は80cmから85cmです。(レイアウトによっては75cmでも良いくらいです)
80cmなんて言うと、『えっ!それでは狭いのでは?建築会社からは最低でも90cm以上と言われました。』と驚かれますが、理由は簡単で、振り返って調理する時の歩く歩数を出来るだけ減らした方が楽だからです。
Ⅱ型にしても、アイランドキッチンにしても、調理中は双方のカウンターを同時並行で使いながら進めていくと思います。1メートルの通路の場合、振り返ってから1歩必要になりますが、80cmであれば、振り返ってそのまま用を足す事が出来ます。たかが1歩といっても、長い年月で積み重なれば、相当の負担ですよね。
もちろん、キッチン付近の空間の広がり(オープンかセミクローズか)、同時に料理をする人数によって、微妙に変えていかなければなりませんが、皆さんが思っているよりも狭い方が良いと私は考えています。皆さんはいかがでしょうか?
下の画像と上の画像は同じオープンキッチンの画像になりますが、通路幅は85cmです。いかがでしょうか?私としては、キッチン周りの空間に広がりがあるので、80cmくらいでも大丈夫かなと思いましたが、お施主様は、使いやすいと満足されています。
下の画像は、セミクローズのⅡ型キッチンですが、通路幅は1145mmです。背面収納側をパソコン机としても使う予定なので、広めに取っています。
下の画像もセミクローズのⅡ型キッチンですが、通路幅は80cmになります。上の画像と比べると少し狭く感じるかもしれませんが、調理はしやすいと思います。
引き出しがたくさんあって、体が邪魔になるのではという心配もありましたが、基本的に引き出しを開けるときは横に立ちますので、大丈夫です。
こちらは、L型キッチンにアイランドとカップボードを組み合わせたキッチンですが、キッチンとの間は約80cm、カップボードとの間は約75cmと少し狭くなっていますが、アイランドの上は空間なので、全体として狭苦しさは感じさせません。
もちろん、狭くするのが万人にとって正解ではありません。豪華な雰囲気を出すために、家事導線が悪くなる事を承知で、あえて通路を広く取る方もいらっしゃいます。
いろんな考え方・ケースがありますが、間取りやキッチン付近の空間の広さ、窓の大きさ、料理の仕方や人数などを考慮して、最適な通路幅を検討してくださいね。